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更新日:2024年5月1日

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県労働委員会「委員リレーコラム」

第153回

名字の行方(PDF:99KB)

名字の行方

労働者委員片野坂昭彦

の名字は珍しい部類に入ると思う。
い時から自認していたこともあり、親戚中に由来を聞き回り、戸籍や附票をとっては僅かな系譜をワープロで作ったものだ。民間調査やサイトでは、県内に200人、全国に600人程度いるとされているが、他県の「片野坂さん」は鹿児島県に縁を持つのではないかと思っている。他県の著名人を含め、私の知りうる限り、皆、そのルーツは鹿児島県だからだ。
9月19日は苗字の日、2月13日は苗字制定記念日である。平民も名字を名乗ることが許された「平民苗字許可令」が1870(明治3)年9月19日、平民の名字が義務化された「平民苗字必称義務令」が1875(明治8)年2月13日に出されたことに由来する。「平民」が名字を名乗ってわずか150年しか経っておらず、随分と最近のことである。しかし、源氏や平氏など朝廷や幕府の役人が鹿児島に次々に移り住んだ鎌倉時代以降、じつは庶民も名字(通称)を名乗っていたとの説もあり、薩摩藩では名字帯刀が許された半農半士もかなり多かったというから、興味深い。
レビでは、名字研究家と日本一のはんこ屋が対決する「名字頂上決戦」なる番組を放送していた。そのはんこ屋は11万種類のはんこを販売しているという。名字の数は、江戸時代には1万種類だったそうであるが、明治以降になると、10万、いや30万種類(あった)とも言われている。すでに廃れてしまった名字や全国で1軒しかない名字も結構あるとのこと。逆に日本で一番多い名字は「佐藤姓」である。
500年後には全員佐藤さんになる」4月1日に不思議なニュースに触れた。「今日はエイプリルフールだ」と思ったが、どうやら東北大のちゃんとしたシミュレーションらしい。現行の夫婦同姓制度を維持した場合、2446年に人口の半分が佐藤姓になり、2531年には全員が佐藤姓になるというもので、ちょっと笑えない話。
もそも夫婦の名字・姓は、明治以降の民法によって移り変わってきた。1876(明治9)年に、妻の氏は「所生ノ氏(実家の名字)」を使用する「夫婦別氏制」であったが、1898(明治31)年に、夫婦は必ず同じ名字を名乗る「夫婦同氏制」となった。1947(昭和22)年に、「夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称する(民法750条)」となって現在に至っている。
今、選択的夫婦別姓の議論が取り沙汰されているが、結婚して夫婦同姓のみしか選択できない国は、今や日本だけ。国内では「旧姓の通称使用」は浸透してきているものの、職場や日常生活での不便さや不利益を被る場面も多く、また、パスポートを含め国際社会では通用せず、グローバル化していく中では、その限界が指摘されている。
ころで、先の「佐藤さん」シミュレーションは、選択的夫婦別姓となった場合の試算もある。結婚して夫婦同姓を選ぶ割合(39.3%、連合「夫婦別姓と職場の制度に関する調査2022」)を加味して計算すると、全員が「佐藤さん」になるのは3310年だという。選択的夫婦別姓制度となったとしても、時間が経つとはいえ最終的に佐藤さんだけになるらしい。
型コロナが働き方改革を一気に推し進め、ウェブ会議は「普通」になったが「地方創生テレワーク」政策などは功を奏せず、コロナ後、大都市圏への人口集中が戻り始めている。鹿児島県では、企業誘致や地元で働ける環境づくりを進めているが、少子高齢化や転出超過による人口減少は歯止めがかからず、160万の人口が30数年後には100万人を切ると推計されている。
内の「片野坂姓」も遅かれ早かれなくなってしまうのだろう。兄弟みんな県外に居を構えて久しいし、子どもたちも県外に出て行ってしまったし。
し、次の休みの日には、お墓参りに行こう。

過去の委員リレーコラム

第152回(R6年4月)「あらためて「公労使」」(PDF:98KB)

第151回(R6年3月)「危機管理」(PDF:251KB)

第150回(R6年2月)「安心・安全」(PDF:273KB)

第149回(R6年1月)「スチュアート・スミス先生」(PDF:97KB)

第148回(R5年12月)「2023年やだ!もう12月!」(PDF:104KB)

第147回(R5年11月)「おもいで話」労働者委員:木佐貫美保(PDF:69KB)

第146回(R5年10月)「委員雑感」公益委員:田中佐和子(PDF:107KB)

第145回(R5年9月)「老いるということ」使用者委員:吉田健朗(PDF:214KB)

第144回(R5年8月)「年をとることを楽しむ」労働者委員:海蔵伸一(PDF:213KB)

第143回(R5年7月)「緑濃き桜並木」会長:采女博文(PDF:114KB)

第142回(R5年6月)「鹿児島ダーウィン」使用者委員:上野総一郎

第141回(R5年5月)「ジェンダー平等のうねりを起こせ」労働者委員:下町和三(PDF:225KB)

第140回(R5年4月)「「今」の習慣」公益委員:田中佐和子(PDF:102KB)

第139回(R5年3月)「求められる量から質への転換」使用者委員:水淵大作(PDF:249KB)

第138回(R5年2月)「「定年退職」がなくなる日」労働者委員:片野坂昭彦(PDF:145KB)

第137回(R5年1月)「大河ドラマ覚書」公益委員:長野信弘(PDF:169KB)

第136回(R4年12月)「人違い」使用者委員:濵上剛一郎(PDF:91KB)

第135回(R4年11月)「「当たり前」だったことが「当たり前」ではなくなった」労働者委員:岡良二(PDF:209KB)

第134回(R4年10月)「ゴッババ」公益委員:新納幸辰(PDF:128KB)

第133回(R4年9月)「お悩み相談」使用者委員:柳田由美(PDF:81KB)

第132回(R4年8月)「ヒナ鳥」労働者委員:木佐貫美保(PDF:219KB)

第131回(R4年7月)「よりよい「対話」ができる社会に向けて~小学校の「対話」授業から考える」公益委員:森尾成之(PDF:150KB)

第130回(R4年6月)「名刺について」使用者委員:米盛庄一郎(PDF:224KB)

第129回(R4年5月)「バイアス」労働者委員:海蔵伸一(PDF:227KB)

第128回(R4年4月)「春、旅立ちの季節に」会長:采女博文(PDF:141KB)

第127回(R4年3月)「個人商店」使用者委員:上野総一郎(PDF:221KB)

第126回(R4年2月)「母の3年祭に想う」労働者委員:東健一郎(PDF:88KB)

第125回(R4年1月)「「墓じまい」の準備」公益委員:田中佐和子(PDF:57KB)

第124回(R3年12月)「所変われば品変わる」使用者委員:水淵大作(PDF:109KB)

第123回(R3年11月)「真摯な労使関係とワークルールを」労働者委員:下町和三(PDF:69KB)

第122回(R3年10月)「体験的香港ビジネス事情」公益委員:長野信弘(PDF:140KB)

第121回(R3年9月)「オリンピック」使用者委員:濵上剛一郎(PDF:66KB)

第120回(R3年8月)「あふれる情報,真実は?」労働者委員:村屋高広(PDF:95KB)

第119回(R3年7月)「弁護士は「敷居が高い」?」公益委員:新納幸辰(PDF:109KB)

第118回(R3年6月)「わたしなりの持続可能な開発目標」使用者委員:柳田由美(PDF:58KB)

第117回(R3年5月)「私の3年」労働者委員:木佐貫美保(PDF:68KB)

第116回(R3年4月)「61才のおじさんを見入らせる藤井聡太二冠」公益委員:北﨑浩嗣(PDF:87KB)

第115回(R3年3月)「不完全であること」使用者委員:米盛庄一郎(PDF:218KB)
第114回(R3月2月)「『奇貨』」労働者委員:海蔵伸一(PDF:249KB)
第113回(R3年1月)「夢をみる」会長:采女博文(PDF:153KB)
第112回(R2年12月)「ねずみ年」使用者委員:上野総一郎(PDF:77KB)
第111回(R2年11月)「最低賃金が改定されました」労働者委員:東健一郎(PDF:253KB)
第110回(R2年10月)「猫との暮らし」公益委員:田中佐和子(PDF:81KB)
第109回(R2年9月)「2020年の夏~豪雨・猛暑・コロナ~」使用者委員:水淵大作(PDF:246KB)
第108回(R2年8月)「言葉の使い方は難しい」労働者委員:下町和三(PDF:214KB)
第107回(R2年7月)「「廃仏毀釈」について」公益委員:平田浩和(PDF:254KB)
第106回(R2年6月)「「早く収まって」」使用者委員:濵上剛一郎(PDF:97KB)
第105回(R2年5月)「継続したコミニュケーションの必要性」労働者委員:村屋高広(PDF:82KB)
第104回(R2年4月)「異常気象」公益委員:新納幸辰(PDF:130KB)
第103回(R2年3月)「職場のご機嫌・不機嫌」使用者委員:柳田由美(PDF:63KB)
第102回(R2年2月)「4月1日施行の民法改正を思う」労働者委員:日高実禎
第101回(R2年1月)「夢」公益委員:采女博文(PDF:159KB)
第100回(R元年12月)「ONETEAM!」使用者委員:米盛庄一郎(PDF:82KB)
第99回(R元年11月)「外国人労働者受け入れ」労働者委員:奥恵利美(PDF:103KB)
第98回(R元年10月)「「働くこと」を考える」公益委員:田中佐和子(PDF:128KB)
第97回(R元年9月)「忘れてはいけない,忘れがちなこと」使用者委員:吉冨秀介(PDF:86KB)
第96回(R元年8月)「選挙の投票率にみる主権者を育む教育の重要性」労働者委員:原園正敏(PDF:134KB)
第95回(R元年7月)「係長等特別研修を終えて」会長:宮廻甫允(PDF:153KB)
第94回(R元年6月)「SDGsの取り組み」使用者委員:久永修平(PDF:159KB)
第93回(R元年5月)「5月といえば」労働者委員:下町和三(PDF:237KB)
第92回(H31年4月)「「これまで」と「これから」の自分」公益委員:平田浩和(PDF:261KB)
第91回(H31年3月)「豊かな人生とは」使用者委員:濱上剛一郎(PDF:90KB)
第90回(H31年2月)「「平成最後の年」寛容な社会を!」労働者委員:村屋高広(PDF:111KB)
第89回(H31年1月)「公労使」公益委員:新納幸辰(PDF:77KB)
第88回(H30年12月)「「休む」ということ」使用者委員:柳田由美(PDF:102KB)
第87回(H30年11月)「外国人労働者の現状と課題」労働者委員:日高実禎(PDF:88KB)
第86回(H30年10月)「高度経済成長期への郷愁」公益委員:采女博文(PDF:91KB)
第85回(H30年9月)「「働く」について一考察」使用者委員:米盛庄一郎(PDF:63KB)
第84回(H30年8月)「LGBTを知ることから」労働者委員:奥恵利美(PDF:65KB)
第83回(H30年7月)「半日旅行」公益委員:田中佐和子(PDF:59KB)
第82回(H30年6月)「くり返される、「やってはいけない」こと」」使用者委員:吉冨秀介(PDF:42KB)
第81回(H30年5月)「教員の長時間勤務が日本人全体の働き方に及ぼす影響?」労働者委員:原園正敏(PDF:88KB)
第80回(H30年4月)「AI(人工知能)の驚くべき進化」会長:宮廻甫允(PDF:47KB)
第79回(H30年3月)「明治維新150周年と歴史的公文書」使用者委員:久永修平(PDF:63KB)
第78回(H30年2月)「労働の変質について」労働者委員森田周一(PDF:59KB)
第77回(H30年1月)「天吹について」公益委員:白尾國豊(PDF:88KB)
第76回(H29年12月)「労働委員会を通じて」使用者委員:中村博之(PDF:46KB)
第75回(H29年11月)「「労働委員会委員」になって」労働者委員:村屋高広(PDF:62KB)
第74回(H29年10月)「かすかな記憶-夏・秋・冬」公益委員:采女博文(PDF:106KB)
第73回(H29年9月)「「LABOR」を考える」使用者委員:米盛庄一郎(PDF:61KB)
第72回(H29年8月)「本格的な台風・集中豪雨のシーズン前に」労働者委員:日高実禎(PDF:98KB)
第71回(H29年7月)「睡眠負債」公益委員:田中佐和子(PDF:67KB)
第70回(H29年6月)「通勤を取り巻く痛切なる事情」使用者委員:吉冨秀介(PDF:58KB)
第69回(H29年5月)「貧困と教育難民」労働者委員:奥恵利美(PDF:51KB)
第68回(H29年4月)「職場でのトラブルの予防のために」公益委員:末永睦男(PDF:81KB)
第67回(H29年3月)「自主造」使用者委員:久永修平(PDF:62KB)
第66回(H29年2月)「組合専従になって思うこと」労働者委員:川俣広孝(PDF:83KB)
第65回(H29年1月)「労使関係のこれからを考える」会長:宮廻甫充(PDF:64KB)
第64回(H28年12月)「チャレンジすることの大切さ」使用者委員:中村博之(PDF:46KB)
第63回(H28年11月)「小中学校の道徳の時間が教科になり子どもたちの道徳性を評価するらしい」労働者委員:原園正敏(PDF:74KB)
第62回(H28年10月)「最近思うこと」公益委員:白尾國豊(PDF:76KB)
第61回(H28年9月)「熊本地震が教えた鹿児島の観光を考える」使用者委員:伊地知司(PDF:76KB)
第60回(H28年8月)「バスガイドについて」労働者委員:森田周一(PDF:89KB)
第59回(H28年7月)「新米委員の思い」公益委員:采女博文(PDF:72KB)
第58回(H28年6月)「観光客の来訪が教えてくれること」使用者委員:吉冨秀介(PDF:62KB)
第57回(H28年5月)「脳トレとプラス思考」労働者委員:奥恵利美(PDF:56KB)
第56回(H28年4月)「論語における人間観察法」公益委員:末永睦男(PDF:63KB)
第55回(H28年3月)「「働く事」を学ぶ(労働教育)」使用者委員:久永修平(PDF:107KB)
第54回(H28年2月)「いの目の天啓と戯れ」労働者委員:大島幹敏(PDF:115KB)
第53回(H28年1月)「互譲の精神」公益委員:原田耕藏(PDF:64KB)
第52回(H27年12月)「雇用と国際化」使用者委員:本坊浩幸(PDF:56KB)
第51回(H27年11月)「ワークルール」労働者委員:下町和三(PDF:41KB)

 

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